現場の課題

高松市の農業分野の課題解決に、IoTを活用できないか?

IoTなどを活用して、複数分野のデータを収集・分析し、安全安心な暮らしを実現する自治体の動きが盛んだ。高松市もいち早くIoTの可能性に注目しており、「スマートシティたかまつ」の推進に取り組んでいる。
この一環として同市の創造都市推進局産業経済部では、IoTを農業分野の継続的な発展に活用できないだろうかと考えていた。そこには、高松ならではのまちの特徴と悩みがあった。ひとつはため池の管理である。
ため池の密度が日本一とも言われる香川県。高松市にも3000か所ほどのため池がある。「田畑をうるおす貴重な水源ですが、近年多発する豪雨で、ため池の安全管理の重要性が高まっていた」と同部部長の田井慎二氏は明かす。
悪天候時は管理者自らが池を巡回して危険個所を確認するしかなく、管理者の高齢化も相まって、その危険性はかねてより指摘されていた。もうひとつは有害鳥獣の対策である。山と里が近い高松では、イノシシが出没し住民を悩ませていた。
「山中に罠を仕掛けるのですが、捕れたかどうかは現場に行って見るしかない。重い捕獲道具を持ち、山の急な斜面を登るのは重労働です」。持って行くべき捕獲道具が分からず、何度も山を往復することもあったという。


STNetの提案

「ため池水位確認システム」と「有害鳥獣捕獲監視装置」で、状況を「見える化」

高松市から相談を受けたSTNetは、IoTを活用した監視装置の実証実験を高松市と共同で実施。2018年から高松市内3か所のため池で「ため池水位確認システム」、2017年から屋島で「有害鳥獣捕獲監視装置」を行っている。
前者ではため池にセンサーを、後者では罠の一角にカメラ等を設置。ため池の水位の変化や害獣の捕獲状況など、データと映像は随時、STNetのデータセンター等へ送られる。そこからさらに高松市役所や管理者など、利用登録を行っている方の携帯電話やパソコンへの送信/閲覧が可能になった。
ため池の水面の変化は、3分ごとの水位変化のデータで分かるようになり、有害鳥獣が罠にかかった時はすぐに知らされ、同時に捕獲状況の写真を見ることができる。状況が「見える化」することで、現場から離れていても、すばやい確認と対応が可能となった。



展望。未来に向けて。

地域の課題をIoTで解決。未来の高松をつくるSTNet。

実証実験が始まって以来、関係者の評判は上々だ。「豪雨時でもため池の状況が分かって安心。万が一の際も早めの対応や避難が可能になりそう」という期待の声があれば、「罠の見回り回数が減り、作業が楽になった」という喜びの声もあるという。
「もちろん改善点も寄せられています。今回の取り組みは市民の皆さんの協力を得ながら検証する点に意義があり、使い始めて分かる良さや改善点など、実際の声を取り入れることで、より効果的な仕組みへと改善できます。
地域の課題を解決できるIoTの可能性は大きいと感じています」と田井氏は話す。離れていても状況がデータや映像ですぐに届き、目に見えるという分かりやすさは安心感につながる。見えることで作業効率も上がり、IoTは高齢化する社会を支える仕組みとして活用できることが実証されつつある。
STNetと連携した、新しい実証実験。今日のデータは、高松市の未来のために活かされている。